Asuka Haruyama Exhibition in Paris
Concept
人類が、神々の叡智の替わりに、己の知性を玉座にすえて、科学万能の時代が始まってから、約300年が過ぎたある日に、私は極東の日本で生まれました。物心がついた頃、日本は既に資本主義と物質文明の支配する世界第2の経済大国になっていました。30歳まで、この現実に順応しようと力を全て注ぎました。そして、その格闘のすえにある程度の財力、仕事を獲得し、子供も生まれました。ただし、その過程で、仏陀の五戒やモーゼの十戒を全く犯さずに来たわけではありませんでした。

時々居た堪れなくなると、私はたった一人で旅に出ました。
真冬のイスラエル、春の屋久島、夏のアッシジ、秋の奴奈川翡翠峡谷、等々。
訪れた土地を歩き回るだけの無名の旅人になった私が、往く先々で感じたもの、見たものは、景色や人の営みの彼方にある同じ原初の息吹であり、風であり、光でした。
老子の言う道(TAO)を垣間見たように思いました。

『はじめに、神は天土地を創ったまだ地は混沌としており空虚だった。闇が深淵を覆っていた。神のプヌーマ(息)が水の上を漂っていた。』(創世記1の1,2)

私は、現代文明人を廃業して、1万年前の日本の縄文時代人の目と耳を持ちたいと考えました。考古学者によれば、この文字の無い時代(1万年以上続いた)には各部族間に、交易こそあれ、戦争は無かったそうです。遺跡は必ず清水の湧く、風光明媚な土地から発見されています。現代人とは違うものの見方、価値観をもって暮らしていたのだと思います。
私は迷わず、その光の中にいたいと思い、縄文時代の集落が多く存在する標高1300メートルの八ヶ岳にアトリエを構えました。

縄文時代人が見て感じていたと思われる原初の光、息、風を、私なりに絵にしてみたいと考えました。私が表現の指南を仰いだ先生は、試行錯誤の上、江戸時代の浮世絵の版画からヒントを得て、表の和紙の絵に裏のアクリル板に描いた絵を発光ダイオードの光で重ねる技法を思いついていました。
先生の許可を得て、この技法を私なりに工夫してみたのが今回の個展で発表する作品です。

個展のタイトルを『原初の光』としたのは、八ヶ岳や旅の先々で私が見た光が、同じ源泉から輝きでていたと感じたからです。

春山 明日香
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